9/24/2012

アメリカ国防省による被曝推計についてーその3

アメリカ国防省のよる、日本各地の去年3月から5月にかけての被曝推計量を、表にまとめてみました。

 
米国の発表した推計値をみていると、首都圏を含む広域で、酷い汚染があったことは否めません。 国防省は、福島については発表していません。関係者がいなかったということなのでしょうか。 また、宮 城県、山形県、栃木県のデータは、大人のみです。これらの地域で、大人の推定被曝量が高い場合、子どもの値も高いだろうことは推測できます。

 
 
 

推計値は、個人が、各当した地域で60日間毎日 24時間屋外で高運動をした場合を仮定して出したものだそうです。たいていの人は、(線量が低い)室内で過ごす時間が多く、60日間の間に、低線量地域に 行った場合もあるでしょうから、ここで推計された値より、被曝量は少ないだろうと注釈しています。実際に個人の被曝量は、いつどこにいたか、どうすごした か、何をたべてたかなどで、同じ地域にすんでいても大きな幅があります。以前このブログでも説明しましたが、同じ屋根の下にすんでいる家族の間でさえ、被 曝量がかなりちがったりするのです。だから、このような推計量は目安にしてくれということです。 

日本政府とちがうなと思う のは、目安とはいえ、なるだけ最大の場合を仮定して計算していることです。防護が目的なのでしょう。日本では、住民に安心して もらうことに躍起になって、なるだけ、最悪の場合個人がどれだけ被曝したかとなどという情報は、発表を避けているように見えます。でも、それでは、安心ではなく、不安が増すばかりだおもいます。

国防省の実際の計算方法の詳細は明らかにされていません。 ただし、米国国防省とエネルギー省が集めたデータと、 日本政府(主にに文科省だとおもいます)や民間で集めたデータを使い、ICRPの方式で計算したと説明されています。この国防省の推計は、第3機関 (National Council on Radiation Protection and Measurements)に批評をしてもらっているということです。

9/18/2012

アメリカ国防省の被曝推計について - その2

先日の続きです。アメリカ国防省による地域別の推計量の情報公開したサイトとみて、気になったこと。 リンクは、ここです(注意:英文のみ)。

その2)

この国防省のサイトは、兵士やその家族を放射能汚染から守るために、米軍がいかに力を尽くしたかをPRするのも目的のようです。この辺りが、日本政府と大違いだと思います。

このサイトでは、国防省の対応 (DOD Response) というタブで、事故当時いかに米軍が放射汚染を危惧して、どんな対策をとったか、アピールしています。(このDOD Response というタブにあうる全文は、ここでよめます。)

たとえば、事故直後、米軍は、
  • ·    関係者内部被曝をさけるため、汚染された食品や水を排除した。汚染地の水、汚染地で生産された全ての農作物、汚染地が原産の材料をつかった全ての食品を供給から外した。放射汚染されたものが混じりこまないように、積荷検査を強化した。
トモダチ作戦で応援はしても、たべて応援は、しなかったわけです。そのほか、 

  • 外部被曝量はポータブルな測定機器を使い日本国内の駐屯所、出兵先、軍艦上で計った。(アメリカ兵がいたところは網羅したということでしょう。)。
  • 米軍の日本での放射線対策チームを強化するため、放射能医療・環境医療・緊急対策チームなどの専門家が、米国本土や沖縄から本州におくられた。エネルギー省の事故対策チームも加わった。
  • 大気、水(海水、地表水(川湖など)、雨水、浄水)、土壌のサンプルをとり、国防省とエネルギー省のチームが汚染レベルを測定した。
  • 国防省関係者が、ホットゾーン(危険地域)(事故当初は25マイル圏内、1マイル=1.6km)やワームゾーン(警戒地域)(事故当初は125マイル圏内)にはいるガイドラインを設けた。日本政府が、なるだけ小さく避難区域を指定して、後から広げていったのとは反対に、念のため大きく危険区域をさだめて、あとからこの区域の縮小という形をとった。ヨウ素剤の配布と服用についての情報を出した。 
  • 米軍が設定しホットゾーンやワームゾーンに入った米兵については、外部・内部被曝量を検査した。この外部・内部被曝の検査のプログラムは、後に、危険地域警戒地域に入っていない関係者にも、任意で受ける事ができるようにした。延べ、8500人の関係者の被曝量を直接に測定した。

米軍は、放射能被害をことさら危険視しているような組織ではないです。むしろ、米国国防省のスタンスは、とてもゆるいです。推計値だって、米国の職務者の限度被曝量5mSvを、引き合いにだして、安全ですと、吹聴しているぐらいです。核保有国であり、劣化ウラン弾で他国の市民が被害を受けようが自国の兵に被害が出ようがひるまないような側面を持っている国です。それでも、福島原発事故による放射汚染による被曝を、大変に危惧していたのが良く分かります。危惧していたばかりではありません。それなりに、措置をとっていました。

日本側にも、同様な危機感は、あったはずです。でも、適切な判断と措置がとれなかった。特別部隊でもなく消防士が福一の決死の放水にあたりました。住民は事情も知らされず、SPEEDIも活用する事もなかった。爆発だけでなく、意図的なベントがされて放射能が漏れた時刻もわかっていたのに、知らせなかった。雨にぬれるな窓に締め切って室内のこもれという、ツイッターが流れたとき、デマ扱い。米軍でさえ、内部被曝を恐れて汚染地の食材を即たったのに、風評被害だといって、検査もせぬ食材を流通をゆるしました。その後の、日本の有様は、米軍が放射能にたいしてハイパーに心配してたんじゃないかと思えるぐらい、のんびりしています。
少なくとも、米軍は関係者の被曝を危惧していました。日本政府は、危機感はあったのだろうけど、実際に何を危惧すべきかは、わかっていなかったのでしょうか。ただ漠然に、原発が事故ってしまうと、日本が終ってしまうとパニックしてたようにも思えます。 つくづく事故当時の日本の対応がくやまれます。