9/17/2012

アメリカ国防省の被曝推計について

アメリカ国防省(The Department of Defense)は、今月から、原発事故当時に日本に滞在していた人の被曝量を推計情報を、提供するサイトを始めました。ここです。

このサイトに先立ち、国防省は、“Operation Tomodachi Registry”を立ち上げ、トモダチ作戦関係者のリストを作りはじめました。Registry とは記帳という意味ですが、要するに、関係者のデータバンクみたいなものを作ったということです。2011年3月12日から5月11日までの2ヶ月の間、日本とその近辺にいた7万にのぼる国防省関係者とその家族が対象となっています。 このデータバンクに登録されている人には、希望があれば、何時何処にいたかに基づいて、詳しくその人個人の推計被曝量を計算して知るせるのが、ひとつの目的です。

同時に、関係者ではないけれど、同時期に日本に滞在していたアメリカ人のために、場所別の被曝の推計量を公表したのが、上記のサイトです。

このサイトによれば、たとえば、3/12-5/11/11 の60日間仙台にいた大人の場合の、全身被曝量が1.2mSv (甲状腺被曝量は12mSv) ということです。つまり、日本の一般人の法律で被曝量の上限とされている1年間で1mSvを2ヶ月でオーバーしたと、推計しているわけです。関東などの推計値は、子供の被曝の推計量もだしています。 茨城(百里基地)では、1歳未満の子供の被曝量は、全身で1.4mSvで甲状腺は23mSvと、推計してます。神奈川(横浜)でも、1歳未満の子供の2ヶ月間の全身被曝量0.63mSv、甲状腺は9.9mSvです。 (追記:国防省はremで報告してます。100rem=1Sv,  すなわち1rem=10mSV.  rem をmSv(ミリシーベルト)に換算するには、10倍すればいいです)。 


このサイトでは、国防省の見解として、どの地域の推計量も、健康に被害があるような値ではなく、さらなる医療検査は必要なしと、明記しています。その一方で、気になるなら医者に相談すべきだとか、これは将来、医療の参考とするための情報とか、安全といっている事と矛盾するような記述もされています。ようするに、自分で判断しろってことですね。

で、このサイトを見て、気になったこと。

その1) アメリカの防衛省は、7万人にものぼる関係者のデータバンクを作る必要があると判断したわけです。その対象は、日本にいた関係者すべてです。トモダチ作戦に直接参加した米兵だけではありません。関東に駐在していた関係者と、その家族(子供含む)もです。さらに、日本に滞在していた一般人にも、この情報をシェアすることが必要だと判断したわけです。 

本当に安全なら、わざわざ7万人もの関係者のデータバンクの作り、個人別に詳細な被爆量を推計するサービスをするだろうか、と思います。ましてや、一般人のために、情報公開する事もないだろうと思います。実際に、推計被曝量をみると、高くて驚愕します。これは、知らせなければいけないっていう事ではないでしょうか。 (もしくは、将来のデータを取るための準備かも知れませんが。どちらにしても、本当に将来何にもないと判断しているなら、わざわざこんなサイトや記帳を作らないだろうと思います。)

日本政府は、福島の一部の除いて、東北・関東の住民に地域別に、どれだけの被曝をしているか推計値もだしてませんよね。福島の高汚染地や警戒区域内に無防備で当時残されていた全住民の一人ひとりの推計量も、どれだけ徹底していやっているのでしょうか。安全だと言いたい事情があるのは米国も日本も同じだとおもいますが、情報を広く提供してくれるだけでも、米軍のほうがマシ。 こういう情報が、なんで日本政府から提供されないのか、本当に理解できません。無能なのか、意図的なのか、棄民政策といわれても、仕方ないようなこれまでの対応に、今更ながら腹が立ちます。

長くなりましたので、その2)は、又後日。。。