4/01/2012

今、緊急にすべきこと (その1):F1の国有化

東電が一兆円もの公的資金注入を要請したことにより、東電が実質上国有化されるだろうと話題になっている。原発事故の収束も政府の下で進むことになるだろうと報道されている。これまでの東電の失態を許してきた現政権に、まかせられるのか、なんとも心もとない。が、とりあえず前進するためには、今の東電の経営陣に任せておくわけには行かないとはいうのは自明だ。

それにしても、この国有化の話題は、ピントはずれにような気がしてならない。 国費で救済される東電自体が国民の監視下に入るというのは当然であるが、それと、福一の管理は、別次元の問題であると思う。 わたしが心配するのは、東電の実質上国有化という中で、電力会社の経営や補償の問題など政治問題に発展しやすい課題ばかりに気をとられ、総力をあげて取り組むべき事故収束に集中できなくなるのではないかということだ。政府の収束宣言を信じている馬鹿はいない。 先日のブログに書いたとおり、東電福一原発の現状は、非常に厳しい。いや、「厳しい」なんて言い方では、甘すぎるだろう。米国で言えばキューバ危機のレベルが、持続している状態だ。事故収束には、日本の命運が、かかっている。いや、北半球の命運がかかっているとさえ、いえるかもしれない。 万万が一にも、収束できないという結果は許されない。 

つまり、国費を注入するのだから国がもっと介入しよう云々の問題ではないのだ。F1事故は、一私企業が責任をもてるレベルをとっくに超えている。エクソンやBPが引き起こした環境汚染事故などと比較にもならないレベルである。 日本国が総力を挙げなければ、収束できないかもしれない。まず今緊急にすべきは、電力会社としての東電の国有化ではなく、事実上お手上げ状態の福一原発という発電所を国の管理下におき、国が事故収束の舵取りをするということであると思う。

Nature誌の投稿で、衆議院平智之氏らが、福一原発は国有化されなければ事故の真相の解明さえ進まないだろうと警鐘していたが、まったく同意する。(日本語版は、Nature Japanで、ここで、読めます。) まずは、原発事故収束の責任は、否が応でも、日本国がとらなければならないということを自覚しなければならない。 それは、政府が、官僚が、政治家が、ということだけではなく、日本国民が責任を負うということだ。 どんなにか東電のせいですまされたら良いことかと思う。でも、この一年いろいろ情報を集めてみてけれど、事故の実態は考えたくないほど深刻だと思うようになった。東電の実質上国有化の是非や形態を論議する中で、事故収束も見直そうなどと、悠長なことをいっている場合ではないのではないか。