3/05/2012

核種検査の必要性

政府は、汚染地で、セシウム以外の検出は、これまであまり積極的にしていない(または発表していない)ようです。とても、おかしいと思います。以下、調べるべき理由です。

理由(1)アルファ線やベータ線をだす放射物質の内部被曝の危険度は、ガンマ線より格段に上です。被曝を抑えるためには、汚染地の環境に特に有害なアルファ線ベータ線核種が存在するか、調べることが大切です。

理由(2)核種検査は、被曝のリスク を、見るためだけではありません。(特に初期における)核種の分析は、福一でなにがおこったのか事故の解析に繋がります。事故の以前にだいたい どんな核種がどれだけどこにあったのかは、見当できます。それに対し、実際に、環境にもれた核種を詳しくみることで、何がおこったのか、推察できるのです。

なぜ、政府は、もっと積極的に検査しな いのか。知りたくないからではないかと、勘ぐってしまいます。 または、隠蔽しているのか。でも、いつまでも、無視したり、隠しとおせることでもないのにね。そのうち、海外のメディアや機関に、大変な量のアルファ線 ベータ線物質が広範囲に飛んできていたとすっぱ抜かれるのではないのかな~。

たとえば、最近、Environmental Pollutionという学術雑誌で、東大の小豆川 見氏らが、去年四月に測定した放射物質の解析結果を報告しています。福島第一、原発付近、そして35km離れた飯館村を測定してあります。(これは、以 前、去年の夏ごろに、おしどりマコさんが彼女のブログでスクープしたいたことです。その時点で、彼女は、研究者によって、ベータ崩壊してプルトニウム 239となるネ プツニウム239が、測定されたと報告していました。秋に、こっそり政府がプルトニウムが飯館村を含む福島の各地で検出されたことを発表する随分前のこと です。)プルトニウムが、広範囲で検出されたことを、政府が認めたあとで、今更という感はありますが、やっぱり飯館村には、プルトニウムや様々な核種が、 飛んでいっていたね、という感じでネットでは情報がまわっています。この論文には、核種の分析も載っているので、福一で何が起こったのか考察したい専門家の方にも、有用な情報があるやもしれません。(この論文のabstractは、このエントリーの一番下に貼り付けておきました。)

また、去年末ごろから、南相馬市(福一から35kmぐらい)で、有志の住民により超高濃度の汚染土(セシウム134と137の合計で、キロあたり100万ベクトル超)が発見されました。 ネット上に、神戸大学の山内教授による解析の報告書もあります。(先日NHKでも、30km圏以内で、キロ当たり400万ベクトルを越す汚染落ち葉が報告されてましたから南相馬の、100万ベクトルに濃縮された汚染も、確かなのでしょう。) こんなとんでもなく高い汚染物質がみつかったのですから、アルファやベータ線核種の調査もするべきだと思うのですが、行政は何もしません。南相馬の市議の大山氏のブログによれば、さらなる核種検査の調査を要請したのですが、市は、動かないようです。マスコミも、割とだんまり。確かに、100万ベクトル超の汚染物質が警戒区域の外(政府が人が住んでいいよといっている地域)にあるとすれば、とんでもない事です。とりあえず、市が動かないなら、国の指導で応急措置が取られなければならないような非常事態だとおもうのですが。。。 

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Deposition of fission and activation products after the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant accident (Environmental Pollution, Volume 163, April 2012, Pages 243–247)

Authors:  Katsumi Shozugawa, Norio Nogawa, and Motoyuki Matsuo

Abstract:  The Great Eastern Japan Earthquake on March 11, 2011, damaged reactor cooling systems at Fukushima Dai-ichi nuclear power plant. The subsequent venting operation and hydrogen explosion resulted in a large radioactive nuclide emission from reactor containers into the environment. Here, we collected environmental samples such as soil, plant species, and water on April 10, 2011, in front of the power plant main gate as well as 35 km away in Iitate village, and observed gamma-rays with a Ge(Li) semiconductor detector. We observed activation products (239Np and 59Fe) and fission products (131I, 134Cs (133Cs), 137Cs, 110mAg (109Ag), 132Te, 132I, 140Ba, 140La, 91Sr, 91Y, 95Zr, and 95Nb). 239Np is the parent nuclide of 239Pu; 59Fe are presumably activation products of 58Fe obtained by corrosion of cooling pipes. The results show that these activation and fission products, diffused within a month of the accident.