6/03/2011

決心

昨日 黄金熊は大決心をしました。
3月11日以来、悩み続けたが、小学生の息子(愛称チビ)をこの夏日本につれて帰るのをあきらめたのだ。

実家は福島から100km圏内。被曝をさせることになるのだろう。だが、たった一ヶ月ちょっとだ。測定されている放射線量も比較的に低い地域。被曝量もそう多くはないだろう。子どもは回復も早いだろうし、多分大丈夫なのだろう。

それでも、連れていかない。 どんなに少量でも、必ず被曝をさせることになるのだろうと知りながら、連れていくことは、できない。連れて行ってはいけない。 これが 散々悩み抜いた黄金熊のママベアとしての決心だ。   

とんだ風評被害に加担するやつだとお叱りをうけるかもしれない。被災地や汚染地で子供の健康を心配している方からみれば、こんなことで、悩んだなんて、大決心だなんて、ふざけんなといわれても仕方ない。

黄金熊は、自分をはぐくんでくれた母国日本が大好きなんです。だから、このベイエリアで生まれそだっているうちのチビにも、日本を大好きになってほしい。その一心で、チビの日本語教育にはげんできまし、毎年必ず日本に一回連れ帰っている。幼稚園にあがってからは、こちらの夏休みには、日本の学校に一ヶ月ほど通わせるようにしてきた。 日本に行くたび じいちゃんばあちゃんともたっぷり時間をすごしていて、大切な思い出をたくさん作ってきた。今年の夏ももちろん帰省するつもりで、航空券も早々に購入した。地震の4日前だった。

どうしても、例年のように日本に連れて行ってあげたい。 余震の怖いのも、じいちゃんばあちゃんの町の浜がなくなってしまった悲しさも、経験するであろう。でも、きっとそこでも頑張って生きてる日本人を見るだろう。それが、大切な日本の思い出になる。そうおもって、どうしても、チビを日本に連れて行きたいと願っていたんです。でも、なぜか夜ねむれない。目に見えない放射能のことが、引っ掛る。 3月以来、毎日夜更けまで情報を求めてネットを放浪しました。

黄金熊が求めていたは、絶対大丈夫、または、絶対だめっていう、確信が持てる情報。でも、知れば知るほど、白でもなく、黒でもない。低線量被曝の影響は確率的と、いわれるが、グレーの世界なのだ。 黄金熊の中では 黒でなければいいのではないかという思いと、 白でないからだめだという思いが交錯続けました。家族にも友人にも 子供を連れて日本にいくよって言ってあるのに、どうしても日本のお世話になる学校に連絡することに躊躇してしまう。もうすぐ6月だ。早く連絡しなきゃと、焦心。でも 電話をかけることが出来ない。

で、もう、待ったなしとなった。 そこで、やっと夫と本音で話し合った。孫が来るの楽しみに待っている黄金熊の両親とも話し合った。最後に じっくり自分に向き合って考えた。

そうして、やっと、なかなか決心をできなかった本当の理由は、チビに日本の思い出を作ってあげたいという親としての思いではなかったと気づかされました。優柔不断の理由は、黄金熊自身の日本にはせる夢を失いたくないという願望だった。言い換えるなら、あの美しい私の故郷が壊されてしまっているという現実を受け入れることを拒否している自分。それが、自分の中のママ熊が突きつけた、決心できないでいる黄金熊の真実の姿だったのだ。

チビは、日本へは、連れて行かない。そう決めた瞬間、心の重荷がなくなった。親として正しい判断であると確信できた。だけど、その次の瞬間、黄金熊は、わんわん泣いてしまった。私の大切な大切な心のよりどころだった故郷は、地震と津波によって傷つけられ、目に見えない放射物質に蝕まれてしまったのだ。大地だけではない。海も、森も、川も、そして人々をも、蝕み続けている。 慟哭。