10/06/2011

忙しいママにもわかるICRP勧告書 -その4

今回はちょっと長いので、忙しいママのために、今回のポイントだけを、いうと、

まとめ: 汚染の平均値は、自分の被曝量を知って、管理するためには、意味があまりないです。あくまで、ひとりひとり、自分が、どれだけ、どういうふうに、被曝しているのかを知ることが大切ということです。  

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内部被曝、外部被曝といった言葉が、巷でもつかわれるようになりました。 でも、ご存知で無いかもしれない方のために、簡単に復習。ICRPの勧告書でも、内部被曝と外部被曝とは、分けています。

外部被曝: 周辺に沈着した放射物質から、身体の外から放射線を浴びることによる被曝。 

内部被曝: 汚染されたものを食べたり飲んだり、または、空気中に漂う放射物質を呼吸することで、身体の中に放射物質をとりこみ、身体の内から放射線を浴びることによる被曝。

前回に書きましたが、広域汚染の特長として、同じ地域でも、局所的には、汚染のレベルが10倍も100倍もちがうこともよくあるのです。ですから、外部被曝も、場所によって、ずいぶん違うのです。同じ家の1階と2階の部屋で、外部被曝量が、ちがったりすることもあるのです。

同じように、内部被曝も、同じ地域でも、一定のパターンがあるわけではありません。たとえば、風が強い日は、地表放射物質があれば、それが空気中に舞い上がりやすいですから、その空気を吸ってしまうと、内部被曝がひどくなるということになります。(だから、風のある日は、マスクしてくださいね。)食べ物についても、同じ地域でも、土壌のタイプや、農作物の種類、栽培の仕方、季節によって、どれたけ周りにある放射物質が、食べ物の中にとりこまれるか、変わるのです。

つまり、大雑把には平均汚染度の高い地域ほど被曝も高くなるわけですが、個人のレベルでは、外部被曝も内部被曝も、汚染の平均値に、単純に比例するわけではないのです。

汚染が低い地域だから何も心配しなくても安心というわけではないし、高汚染地だから何をしても無駄だというわけでもないのです。(もちろん、超高汚染地域では、避難しかないとおもいます。)できるだけ、被曝の量を、少しでも少なくすることが、もちろんいいわけです。

ICRP勧告書では、同じ地域の住民の被曝量でも、また、同居している家族の間でさえ、個人差が大きいと指摘してます。個人差の大きい理由としてあげられるのは、

1)事故初期の(短期間の)被曝量。
外部被曝、また、呼吸による内部被曝のリスクが一番高かった時期にどれだけ被曝したのかが人によってちがいます。同じ時期に同じ地域に住んでいても、目張りしたコンクリートの高層マンションに閉じこもっていた人と、外で何時間もすごし雨に打たれたりした人では、被曝量がかなり違ってしまったということです。)

2)長期的にすごしている、自宅や職場や学校など、生活圏の汚染度の差。前述のとおり、局所によって、汚染度の差がある。

3)職業。 たとえば、汚染物質を扱う職業(たぶん、高汚染の農地に携わる農家の方や、清掃業の方など)は、被曝量が、おおくなります。

4)生活パターン。 特に、食べ物の関して。 きのこが大好物の人 乳製品を好み外で泥だらけになって遊ぶのが好きな子供など、個人の、生活パターンで、格差がでます。

ICRP の勧告書は、こうした個人差をふまえて、汚染地で住民の被曝を抑えるには、「平均的な住民」を想定して対策を立ててもあまり役に立たないといっています。

つまり、汚染の平均値とか、被曝の平均値というのは、あまり、自分の被曝量を知るためには、意味がないのです。 あくまで、ひとりひとり、自分が、どれだけ、どういうふうに、被曝しているのかを知ることが大切ということです。 まずは、自分や家族の生活パターン、生活圏を、詳しく、考察してみて、どこかに、'落とし穴’がないか、また、改善できるところがないか、考えてみませんか。