10/02/2011

忙しいママにもわかるICRP勧告書 -その3


 今回はICRP勧告の基準についてまとめるつもりでしたが、ちょっと脱線して、この勧告は、どのようなタイプの放射線汚染についてのものなのか、書いて置きます。(Pub. 111の第2章の 内容です。)

Pub.111という勧告書は、放射物質が 爆発などにより、広く拡散してしまう事故を想定して書かれています。将来、チェルノボリのような事故がまた世界のどこかでおきたら、ということを懸念して、2009年に 書かれた勧告書なのです。まるで、福島の事故を、予期していたようなタイミングで。

福島はチェルノボリとは違うと人もいますが、広域にわたって放射線汚染が拡散してしまってたという点では、同じです。この勧告書では、チェルノボリのような広域汚染の特徴として次のことをあげています。

1.汚染の度合いは、放射物質が拡散された時の、天気(特に風向きと雨量に)に左右される。汚染がひどいかどうかは、事故のあった所からの距離だけでは分からない。大雑把にいうと、事故当時、風下で雨が降ったような地方で、放射物質の濃度が、高くなるということです。

2.汚染の度合いは、局所ごとでも、大きく変わる。たとえば、チェルノボリの場合、汚染地域では、同じ村の中でも 線量が10倍から100倍も違っていた。隣の庭では線量が低いのに、うちの庭は高いということも、十分ありえる。

つまり、広域汚染では、そこの住民にとって、平均値は、あまり意味がないのです。××県 とか、××市や××村といったレベルの線量と測定報告は、行政の目安にはなるかもしれませんが、個人が自分の生活範囲での汚染と目安とするには、不十分です。 住民にとっては、自分の生活する場所で細かく放射線量や放射物質量を測定する以外、自分にかかわる汚染の度合いを正確に知る方法は、ないということです。 さらに、IRCPの勧告書は、同じ場所で生活していても、実際の被曝量は、個人差、復、時間差が、大きいと指摘してます。 これについては、この次。